研究課題
本研究では、ナノ粒子をビーム状に基板へ直接照射しながらマトリックス材の同時成膜を行う新しい成膜技術を独自のプラズマ生成法を利用して開発することを目的とし、酸化物ナノコンポジット機能材の低温高速成膜を目指している。3年間の研究計画の最終にあたる本年度は、マトリックス材の形成に用いるプラズマ源の特性解明による製膜プロセスの高品質化への指針確立と共に、気相でのナノ粒子改質特性の解明に重点を置いて、以下の研究を行った。まず、マトリックス材の形成に用いる内部アンテナ型誘導結合プラズマにおいて、高品質の製膜プロセスの実現に資することを念頭に、プラズマ生成の起源であるアンテナ周辺でのプラズマパラメータの分布について詳細に調べた。アンテナ周辺での放電は、アンテナのアスペクト比、すなわち誘導電界の分布に大いに依存し、さらに静電結合に伴うプラズマの電位揺動ならびにプラズマ電位を抑制する上で、アンテナの低インダクタンス化が有効であることを明らかにした。これらの知見を基に開発したプラズマ源では、対地に対するイオンエネルギーを5〜10eVまで低減可能であることが明らかとなり、イオンダメージを抑制した高品質プロセスへの足がかりが得られた。さらに、昨年度に開発した誘導結合型プラズマノズルを用いたナノ粒子プロセス系による粒子製膜の重要なポイントとして、気相でのナノ粒子改質特性について調べた。昨年度に得られた結果をさらに詳細に検討し、希土類を含有する3元系酸化物ナノ粒子を用いた実験により、希ガスプラズマのみによる急速加熱を施した場合には相分離を生じるのに対し、反応性気体を微量含有する高密度プラズマを用いることにより、相構造の安定性を保った状態で低温相から高温相への相変換が可能となることを明らかにした。また、プラズマCVD法の併用によりナノ粒子膜へのマトリックス材の形成も容易に可能であることを示した。
すべて 2007 2006
すべて 雑誌論文 (5件)
Proc. 24th Symp. on Plasma Processing, Osaka, Japan, 2007.1.29-31
ページ: 111-112
ページ: 61-62
Japanese Journal of Applied Physics 45・10B
ページ: 8046-8049
ページ: 8042-8045
11th International Conferences on Modern Materials and Technologies, Acireale, Sicily, Italy, 2006.6.4-9, (2006) (INVITED)
ページ: 179-180