研究概要 |
急速凝固法をLiNbO_3等のペロブスカイト及びイルメナイト構造の材料に適応し,急速凝固により導入されたひずみにより,分極に寄与するBイオンの変位を準安定的に大きくすることを目指している.これにより,SHG変換効率を大きく改善することが期待される.今年度は,ひずみを定量的に議論するのは困難なため,まず急冷効果と希土類ガーネットにおける格子定数について実験を行っている. 磁気光学素子として用いられる希土類鉄ガーネットは,イオン半径の大きいNdやBiで希土類元素を置換することにより特性向上が望める.しかしながら,希土類元素のイオン半径増大に伴い格子定数が増大し,結晶格子中に歪を発生させるため,最大格子定数(1.254nm)以上ではガーネット構造が維持されないことが報告されている.本研究は,無容器過冷却・急冷凝固法を用いてNd置換Sm鉄ガーネットNd_xSm_<3-x>Fe_5O_<12>において,最大格子定数をとる置換量x=0.38以上のガーネット相を準安定的に生成することを目的とした. x=0.6を有する急冷試料のXRDにおいて,ガーネット相のピークを確認した.このプロセスにより最大格子定数以上においてもガーネット相を生成させることが可能であることがわかる.また熱処理後においてガーネット相ピークが消滅したことは,ガーネット相は準安定的に生成したことを示している.Ndの置換量を増加させた場合,準安定ガーネット相のピーク強度は徐々に減少するもののx=2.0までカーネット相を確認した.CCT図を用いた考察から,ガーネットの安定性と冷却速度の関係を整理できることがわかった.
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