次世代デバイスとして期待される電界放射型デバイスとしての性能は、銅シリンダーの構造(長さ、径)、密度、シリンダーの間隔等に大きく左右されると思われる。そこで、この銅シリンダー構造を作製する為のテンプレートの材料として、本研究ではブロックコポリマーを用いる。従来、陽極酸化法により作製したアルミニウムの多孔質構造をテンプレートとして、そこに異なる金属を析出する研究例はある。しかしながら、孔の大きさを制御することが容易ではなく、50nm以下の孔構造を作製することは難しい。さらに、金属析出後にテンプレートのアルミニウムを取り除くことが困難である。一方、ブロックコポリマーは、2種類のポリマーが相分離を起こすことによってナノ構造を形成するもので、ブロックコポリマーの分子量、2種類のポリマーの比率等を変化させることで、様々な構造、サイズを制御できるものである。 そこで、本研究ではポリスチレン(PS)とポリメチルメタクリレート(PMMA)から成るブロックコポリマーをテンプレートの材料として用いる。ブロックコポリマーとトルエンの3wt%混合溶液をITO基板上に150μl塗布し、スピンコーター(2000r.p.m.10s+3000r.p.m.60s)で広げた後、真空下、温度170度で24時間アニールを行う。アニール後の基板へVUV照射を行なった後、超純水へ浸漬し、PMMAを除去する。次に、ITO基板上へ作製されたブロックコポリマーのテンプレートを用いて銅の電析を特う。その後再びVUVを照射してPSを除去することで、基板上にシリンダー構造を作製し、AFMと走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて観察する。作製されたテンプレートの電流密度を測定し、評価した結果、銅ナノシリンダーテンプレートの作製が確認できた。
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