本研究は、一個の細胞が有する特定のmRNAをRT-PCRにより増幅、続けて無細胞転写翻訳共役反応を行ない、細胞固有の遺伝や形質の情報とリンクした蛋白質分子ライブラリーを構築する新規なシステムを開発することを目的としている。特にこの申請では例としてヒト由来B細胞1個より、L鎖とH鎖の組み合わせを変えることなく抗体cDNAを増幅、蛋白質として発現させることを試みた。以下に今年度の主たる成果を記す。 1)免疫マウスよりのモノクローナル抗体の取得 CB40蛋白質をマウスに免疫し、脾臓よりB細胞を回収してその1個細胞より、RT-PCRによりL鎖とH鎖遺伝子を増幅し、T7プロモーター、ターミネーターを付加した後、無細胞タンパク質合成系により発現させた。スクリーニングの結果抗原に対して高い親和性を有するモノクローナル抗体(Fab断片)を得ることができた。 2)ヒト由来モノクローナル抗体の取得 健常人の血液より末梢B細胞を回収し、その1個細胞より、RT-PCRによりL鎖とH鎖遺伝子を増幅し、T7プロモーター、ターミネーターを付加した後、無細胞タンパク質合成系により発現させた。血液型に対する抗原によるスクリーニングの結果、親和性を有する抗体断片を取得することができた。
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