研究課題/領域番号 |
16656260
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研究機関 | 兵庫県立大学 |
研究代表者 |
根来 誠司 兵庫県立大学, 工学研究科, 教授 (90156159)
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研究分担者 |
武尾 正弘 兵庫県立大学, 工学研究科, 助教授 (40236443)
服部 正 兵庫県立大学, 高度産業科学技術研究所, 教授 (70326297)
内海 裕一 兵庫県立大学, 高度産業科学技術研究所, 助教授 (80326298)
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キーワード | 積層型マイクロリアクター / ノニルフェノール / ナノ加工 / 多検体分析 / 酵素免疫法 / 内分泌攪乱物質 / アルキルフェノール / 環境ホルモン |
研究概要 |
本研究は兵庫県立大学大学院工学研究科および高度産業科学技術研究所の共同研究により実施した。本年度は、特に、ナノ加工技術を用いた同時多検体分析システムの構築の初段階として、特に、マイクロリアクターを用いた内分泌攪乱因子ノニルフェノールの免疫的分析手法の確立について検討を行った。その成果の概要は下記の通りである。 1.アルキルフェノールに対するモノクローナル抗体を粒径20ミクロンのポリスチレンラテックス樹脂に固定化しておき、次いで、環境試料を、固定化樹脂を含む反応槽に注入して抗原-抗体反応を行わせ、ノニルフェノールの免疫的検出を試みた。 2.被検物質の測定は酵素免疫測定法(ELISA法)を原理とした測定系にて行った。通常のELISA法は、固相に固定化した被検物質に対する抗体に対して被検物質を結合させ、酵素標識した二次抗体を反応させた後、基質を加え、基質の吸光度や発光強度を測定する(サンドイッチ法)。しかし、測定対象物質であるノニルフェノールは分子量が小さく免疫原性を持たないため、抗体によるサンドイッチを形成出来ないため、酵素標識ハプテンを用いた競合法にて測定した。 3.抗体感作粒子調製時に、対照として、抗体を添加しない粒子を同時に調製した。抗体を感作した粒子では、ノニルフェノールによる競合反応が起こっており、ポリスチレン粒子に抗体が感作されていることを確認した。 4.縦軸にB/BO(%)(対象濃度における吸光度/0μg/Lにおける吸光度)、横軸に濃度をとると、ノニルフェノールの濃度が下がるにつれ、吸光度が増大し、検量線を引くことが出来た。また、現時点でのノニルフェノールの検出下限は2〜5μg/Lであった。微小空間における反応では、比界面積(体積当たりの反応固相表面積)が上昇し、免疫反応所要時間の短縮・感度の向上が期待できるため、今後、反応系の微小化に取り組むとともに、使用試薬(蛍光試薬など)の検討、感作条件、ブロッキング条件、測定条件の至適化を行う。
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