研究課題/領域番号 |
16656265
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研究機関 | 独立行政法人宇宙航空研究開発機構 |
研究代表者 |
稲谷 芳文 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究本部宇宙航行システム研究系, 教授 (10168403)
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研究分担者 |
成尾 芳博 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究本部宇宙航行システム研究系, 助手 (70150050)
佐藤 英一 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究本部宇宙航行システム研究系, 助教授 (40178710)
竹内 伸介 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究本部宇宙航行システム研究系, 助手 (20353419)
樋口 健 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究本部宇宙航行システム研究系, 助教授 (60165090)
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キーワード | 複合材 / 極低温 / 液体水素 / 強度 / 樹脂フィルム / CFRP / 液晶ポリマー |
研究概要 |
CFRPを使用した極低温複合材タンクは再使用型宇宙輸送系の推進剤タンクとして、構造軽量化の観点からアメリカを中心に、日本やヨーロッパでも研究開発が続けられている。 極低温複合材タンクの重要な問題として、極低温環境下で生じるCFRPのマイクロクラックからの燃料漏洩があり、成立性の課題となっている。CFRPのマイクロクラックは繊維と樹脂の線膨張率の差から生じ、特に極低温環境下で発生し易い。 本研究では、再使用ロケット実験機(RVT)用液体水素タンクを目標に、タンク内面に液晶ポリマー(LCP)の気密層を設置した複合材タンクを検討し、試作を行った。LCPはCFRPの線膨張率に近く、高いガスバリアー性を持っており、極低温複合材タンク用のライナーとして適性が高い。このため、複合材タンクにLCPの気密層を設けることでCFRPのマイクロクラックに起因する漏洩が防止できると考えている。 このタンクは、極低温燃料がCFRPやエポキシ樹脂に直接触れることの無いような構造とすることが重要であったため、LCPの融着工程を新規に確立し、今回の試作に採用した。その結果、LCPとTi合金のみがタンク内面に露出されるタンクの試作に成功した。試作したタンクは円筒部の上下に1:2楕円鏡板から成り、Ti-6Al-4V製ボスフランジ、ポリイミド樹脂CFRP及びエポキシ樹脂CFRP製の耐圧殻、厚さ0.4mmのLCP製気密層から構成されている。 試作したタンクに対して、Heリーク試験、常温耐圧試験、液体水素耐圧試験等を実施した。その結果、タンクからの漏洩は認められず、常温耐圧時と極低温耐圧時で計測した歪に大きな差が無いことを確認した。さらに試験終了後、LCPライナー表面に欠陥は認められなかった。
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