研究概要 |
プロジェクトを知的に支援するシステムの構築とそのシステムにおける情報モデルの具体的な提案を目的としている本研究では,本年度(初年度)において,一般的なプロジェクトマネジメントのシステム支援の状況,および既存の研究などを調査した.その結果,プロジェクトを構成する様々なアクティビティの役割を明確にし,アクティビティの情報の流れを考慮したプロジェクト情報の表現と,プロジェクトの成果物に関する情報の表現について十分に検討する重要性を確認した.一方において,プロジェクトで扱うべき作業情報のモデル化としては,作業の情報を階層的に分解するWBSや,仕事間の流れを表現するIDEF0を参考にしてモデル化することが有効であるとされている.これに対しては,プロジェクトにおける作業情報のモデル構造の定義を行い,タスク間で流れる情報としての成果物のモデルを検討した.具体的には,プロジェクトにおける作業の情報を個々のタスクの集合として表現し,任意の作業構造を構築可能なモデルを提案した.さらに,成果物に関する情報の記述方法を検討するにあたっては,対象となるタスクとして成果物のモデルが複雑な構造を形作るシステムおよびソフトウェア設計を例として考え,この時の成果物のモデルとして著者らが提案するトップダウン指向情報モデルを用いることを検討し,その適用性を検証した.提案しているトップダウン指向情報モデルでは,設計対象は実体モデルと属性モデルと関係モデルから構成されているが,プロジェクトメネジメントを実現する上では,以下の情報操作の機能が必要であることが確認され,次年度の研究課題を具体的に列挙した. ・プロジェクトの情報をタスクの集合として表現し,タスク間の関係及び階層構造を持つ情報モデルを提案する. ・成果物情報の効率的な情報生成のための操作機能を提案し,生成された成果物の情報をプロジェクト情報と関連づけて記述管理する機能を提案する.
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