研究課題/領域番号 |
16656269
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研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
角 洋一 国立大学法人横浜国立大学, 大学院・工学研究院, 教授 (80107367)
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研究分担者 |
川村 恭己 国立大学法人横浜国立大学, 大学院・工学研究院, 助教授 (50262407)
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キーワード | 重み関数 / 有限要素法 / 船体構造 / 応力応答関数 / 高速演算 / 計算精度 / ダブルハル・タンカー |
研究概要 |
本年度の研究実績は下記の通りである。 構造応答の重み関数とは、外荷重とその点における重み関数の内積を領域にわたり積分した値が、求める応答を与える関数のことである。本研究ではある種の補助問題にMaxwell-Bettiの定理を適用することによって構造応答の重み関数を極めて効率的に定める手法を2次元問題、3次元問題に対して提案し、その船体構造解析への適用性を確認した。 (1)2次元平面弾性問題における重み関数の定式化 弾性問題の簡単な事例として2次元問題における重み関数を定めた。変位応答の重み関数は、補助問題として2種の集中力の作用する場合の変位場を用いることによって得られ、また、応力応答の重み関数は3種の集中力対に対する補助問題の解の変位場から得られる。また、外力が注目近傍に直接作用する場合、集中力や集中力対の作用する点の近傍の特異性を解析的に取り扱う手法が必要となることを示した。 (3)3次元シェル構造における重み関数の定式化 3次元シェル問題における重み関数を定めた。変位応答の重み関数は、補助問題として3種の集中力の作用する場の変位によって得られ、また、曲げモーメントと捩りモーメントの重み関数は3種のモーメント対に対する補助問題の変位場から得られることを示し、数値計算上のこれらの力対の取り扱いが精度に及ぼす影響を定量的に検討した。 (4)船体構造における疲労危険部位の重み関数の算定と応力応答関数高速計算法 船体構造解析に際して有限要素法で数値的に変位や応力応答の重み関数を定める計算法を開発した。特に、集中力対やモーメント対を作用させるための節点における近接した節点配置の指針を明らかにするとともに、応答値を求めるための効率的な内積計算のプログラム化について工夫を行う。これによって、疲労危険部位の応力応答関数を高速演算する新手法を提案し、ダブルハルタンカーの船倉モデルに対して計算時間の短縮効果を定量的に示した。評価すべき応答が20項目程度であれば、応力応答関数を定めるのに要する計算時間は従来法の数分の一になることがわかった。
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