研究概要 |
本研究は太陽光を集光し光ファイバを用いて加熱部まで伝送して熱変換する方式の有効性を実験的に明らかにすることを目的とする.H17年度は光ファイバの代わりにガラス製ロッド(直径1mm,長さ約500mm)を使用した.また,集光用レンズおよび加熱部もそれに合わせて製作した. 非結像フレネルレンズは受光部直径1mmに対し光学的集光比390倍,許容入射半角0.58度,直径22mmの平板型を設計した.光学シミュレーションによる評価では光学的効率が78%と予測されたが,実際の日射による測定では57%の効率となった.集光分布が直径2mmまで広がっていたことから,これはプリズムでの色収差およびプリズム製作時の誤差に起因すると考えられる. 加熱部は縦10mm×横10mm×長さ150mmの直方体形状のアルミ製外殻(外側を断熱)の中心軸上に縦3mm×横3mm×長さ150mmのアルミ製直方体の受光部を設置した.両方とも黒ペンキ塗装を施した.3つのレンズで集光された光はそれぞれガラスロッドを通して受光部直近まで伝送され,ロッド末端から受光部に照射される.3つのレンズを一セットとし,加熱部には5セットの集光部を設けた.外殻は密閉し,受光部裏側(照射していない面)と中の空気温度を計測し,伝熱量を求めた. 晴天時(直逹日射量約800W/m^2)において集光・集熱実験を行ったところ,受光部および空気の温度は照射開始10分後に150-160℃まで上昇し,一定となった.本結果は提案方式による高温集熱の基本的な有効性を示している.ただし,太陽日射から空気加熱までの総合的な効率は26%であった.入力の内45%はレンズ損失および集光損失となっており,レンズ性能の向上が重要な課題である.
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