研究概要 |
理化学研究所発生・再生科学総合研究センターで維持されている日本産プラナリア(Dugesia japonica)の無性生殖系統を用いて、染色体標本の作製法とFISH解析システムの確立ならびにその最適化を試みた。個体を3つの断片に細切し、150ng/μlのコルヒチン濃度で3日間培養することによって、分裂頻度が高くかつ染色体の拡がりが良好な染色体標本を作製することができた。作製された染色体標本を用いて、分染処理を行ってG-分染、C-分染、複製R-分染核型を決定し、G-分染核型のイディオグラムを作製した。 次に、既に研究代表者らが脊椎動物で確立したFISHマッピングシステムをプラナリアに応用し、18S-28SリボソームRNA遺伝子とテロメア配列のFISHマッピングを試みた。その結果、18S-28SリボソームRNA遺伝子は5番染色体の長腕末端部にマップされた。間期核でも良好なシグナルが観察され、この系統に多発する3倍性の細胞を間期核の観察で容易に識別することが可能となった。テロメア(TTAGGG)n配列のシグナルは染色体末端部だけに検出され、そのシグナルは非常に強く、プラナリアのゲノム中に多くのコピー数が存在することが判明した。機能遺伝子の染色体マッピングには、cDNAフラグメントをニックトランスレーションによってCy3で標識し、ハイブリダイゼーション後にCCDカメラを用いた画像解析を行うことによって、1kb以下のcDNAフラグメントでもプラナリア染色体上にマッピングを行うことが可能であった。今年度はMHC, noudarake,1993HH, DjotxA, DjotxBの5遺伝子クローンの染色体マッピングを行い、今年度に作製したイディオグラムを用いて機能遺伝子の高精度染色体マッピングを実現することができた。
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