研究概要 |
16年度には、理化学研究所発生・再生科学総合研究センターで維持されている日本産プラナリア(Dugesia japonica)系統を用いて、プラナリアの染色体標本の作製法とFISH解析システムを確立し、プラナリアにおける世界初の機能遺伝子の高精度染色体マッピングに成功した。今年度は、スペイン産プラナリア(Schmidtea mediterranea)の無性生殖系統を用いて核型解析と染色体マッピングを行った。D.japonicaが2n=16で全て両腕染色体(FN=32)であったのに対しS.mediterraneaの染色体数は2n=8(FN=16)であった。Q-、R-、C-分染法を用いて詳細な解析を行った結果、1番染色体と3番染色体間で転座が生じ、この系統では染色体構造変化がヘテロ型で固定していた。生じた構造変化のパターンを明らかにするため、MHC,noudarake,1993HH,DjotxA,DjotxBの5遺伝子、18S rRNA遺伝子、(TTAGGG)nテロメア配列を用いて、染色体マッピングを行った。その結果、用いた機能遺伝子は全て1番染色体に存在し、短腕からnoudarake-DjotxA-MHC-DjotxB-1993HHのオーダーでマップされた。そして、MHC-DjotxB間で染色体の切断が生じ、遠位部側の染色体断片と3番染色体の長腕間で転座が生じたことが判明した。さらに、DjotxBと1993HHを含む領域で欠失が生じたことも明らかとなった。 また、本研究においてプラナリアで開発した染色体解析法をホヤの染色体解析にも応用し、京都大学の研究グループとの共同研究でホヤのイディオグラムと染色体地図の作製に協力した。
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