本研究申請時には、胚期でのmgm1遺伝子の発現を指標にスクリーニングを行う予定であった。しかしながら、申請後のコントロール実験から、胚期でのmgm1遺伝子の発現が非常に弱く、スクリーニングに適さないことが明らかとなった。これまでの知見から、mgm1遺伝子の発現が胚期から認められるようになり、その後、成虫期まで雄生殖細胞特異的に発現が持続することが知られている。3令幼虫期でのmgm1遺伝子の発現は非常に強く、かつ生殖巣の大きさで容易に雄雌の差が見分けられることから、スクリーニングを行う時期を胚期ではなく、3令幼虫期へと変更することにした。そこで、本年度はRNAi変異体作製の際に用いるGAL4ドライバーの選別とこれらGAL4ドライバーを用いたコントロール実験とを行い、スクリーニングの準備を進めた。 Twist GAL4は胚期の中胚葉領域(将来生殖巣となる領域を含む)で広く発現するが、生殖細胞での発現は認められない。そこで、胚期で使用するGAL4ドライバーとしてtwist GAL4を選択した。一方で、twist GAL4は胚期のみで発現し、3令幼虫期にはその発現が認められない。このため、幼虫期の生殖巣に発現する(ただし生殖細胞には発現していない)GAL4ドライバーを選別するため、既存のGAL4エンハンサートラップ系統を用いたスクリーニングを行った。この結果、NP581、NP1624の2つの系統が先の条件を満たすことがわかった。特にNP1624については、GAL4が幼虫期の生殖巣全体で発現し、かつ弱いながらも胚期の生殖巣にも発現していることが確認された。現在、この2系統を用いたコントロール実験を進めているが、NP581系統についてはスクリーニングでの使用が可能であることが判明した。今後は、NP1624系統についても検討を行い、早急にスクリーニングを開始したいと考えている。
|