研究概要 |
北方の森林に生息する動物の個体数は年次的に大きく変動し,動態メカニズムの解明は生態学の主要課題のひとつである.周期変動を含む多様な変動パターンを示す北海道のエゾヤチネズミでは,変動パターンの形成に密度依存性が強く関わっていることが明らかになっている.本研究の目的は,最近,マウスにおいて明らかにされた免疫力におけるコールドストレスがエゾヤチネズミにおいても起きることを確かめ,密度依存性機構として働きうるかを検討することである. 本年度の目的は,実験マウスによって確立された実験方法を野生エゾヤチネズミに適用できるよう,実験方法,実験環境などを整えることであった.具体的には以下の点について検討した. 1.マウスでは標準温度は23℃,低温条件は5℃が適切であるとされているが,寒冷地域に適応しているエゾヤチネズミでの最適実験温度を検討した. 2.マウスでは抗原を注入してから6日後に採血しているが,エゾヤチネズミにおいて免疫力測定に最適な実験期間を検討した. 3.先行研究はHA法を使っているが,ほかの測定方法も検討した. 実験の結果,マウスによって確立された実験方法は野生エゾヤチネズミにも適用できることが明らかになった.
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