研究課題/領域番号 |
16657012
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
山田 恭司 富山大学, 理学部, 教授 (70200714)
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研究分担者 |
若杉 達也 富山大学, 理学部, 助教授 (10212317)
唐原 一郎 富山大学, 理学部, 助手 (60283058)
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キーワード | 寄生根 / 寄生植物 / 細胞間連絡 / ネナシカズラ / プラスモデスマータ / 原形質連絡 / 吸収糸 |
研究概要 |
寄生植物であるネナシカズラが宿主植物に寄生する際には、寄生根の吸収糸細胞と宿主の維管束細胞との間での細胞間連絡が形成されなければならない。この特異な異種植物細胞どおしの細胞間連絡の形成機構を解明するために、以下の研究をおこなった。 1)アフリカホウセンカまたはエンドウに対してネナシズラ芽生えを寄生させ、経時的な組織切片によって吸収糸の発達を観察した。その結果、宿主の違いで形態や発達の程度に差が認められるものの、寄生根誘導後72時間目までには、不定形な細胞形態をとる吸収糸細胞が分化することが明らかとなった。次に、吸収糸の発達にともなう細胞間連絡の形成を確かめるために、細胞間連絡部に蓄積するカロースの分布をアニリンブルー染色によって調べた。その結果、吸収糸細胞には、細胞間連絡形成の指標となるカロースが高蓄積していることが示された。 2)細胞壁関運酵素群のcDNAをネナシカズラからクローン化し、吸収糸の形成過程での発現動態を解析した。具体的には、細胞間連絡部域でのカロース蓄積に関わるカロース合成酵素、寄生根の特徴的な細胞壁成分であるアラビナンの合成に関わるアラビノシル基転移酵素、細胞壁合成に重要なセルロース合成酵素、さらに細胞壁代謝に関連する各種酵素のcDNAをプローブとして、吸収糸形成過程における各遺伝子の発現パターンを調べた。吸収糸および細胞間連絡の形成にともなって、ほとんどの遺伝子の発現レベルは変動しなかったが、セルロース分解に働くエンド-1,4-グルカナーゼと、ペクチンの脱メチルエステル化に働くペクチンメチルエステラーゼの2遺伝子だけは、発現レベルが増大した。この結果から、この2酵素こそ、吸収糸が不定形な形態をとり、宿主の細胞壁に接着する過程に関わっている可能性が示唆された。
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