研究概要 |
1.初年度は,マレーシア国サバ州(ボルネオ島)ダナムバレイ自然保護区内の熱帯林で,9月と2月の計2回(28日間)のアリ類とアリグモ類のサンプリング調査をおこなった. 2.サンプリングは,植物の高さを1m,3m,5mに区分し,各区分で主にスィーピング法を用いて植物上のアリ類と俳徊性クモ類を採集した.20回のスィーピングを1サンプリングとし、合計で384回のサンプリングをおこなった. 3.これらのサンプリングで得られたアリ類は合計2540個体,クモ類は合計864個体であった. 4.採集された俳徊性クモ類のうち,アリに擬態したクモ類の個体数は105個体で、その比率は12.2パーセントであった. 5.植物の高さ別にみると,1m,3m,5mの高さでの1サンプリングあたりアリ類平均個体数は、それぞれ8.00,5.49,4.56となり,1mの高さでもっとも多かった. 6.俳徊性クモ類全体の個体数は高さによる違いはほとんどなかったが、アリ擬態グモだけに着目すると,1m,3m,5mの1サンプリングあたり平均個体数は,それぞれ0.36,0.20,0.13となり,アリ類の空間分布と同じ傾向を示した. 7.これらの採集個体は日本に持ち帰り,標本を作製し,種名等の同定中である. 8.また,採集されたアリグモ,非アリ擬態グモ類の行動パターンを同伴アリ類の行動パターンと比較するため,採集された各グモ類の行動をビデオで撮影し,その行動の解析中である.
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