研究課題/領域番号 |
16657032
|
研究機関 | 特殊法人日本原子力研究所 |
研究代表者 |
藤原 悟 特殊法人日本原子力研究所, 中性子利用研究センター, 副主任研究員 (10354888)
|
研究分担者 |
松本 富美子 特殊法人日本原子力研究所, 中性子利用研究センター/理化学研究所・構造生物化学研究室, 外来研究員/振興調整費研究協力員
弟子丸 俊吾 特殊法人日本原子力研究所, 中性子利用研究センター/理化学研究所・構造生物化学研究室, 外来研究員/振興調整費研究協力員
|
キーワード | 繊維回折 / 中性子回折 / 小角散乱 / 細いフィラメント / トロポニン / 蛋白質重水素化 / 筋収縮 |
研究概要 |
本年度は、中性子繊維回折法の実行可能性を確認することを主たる目的とした実験を行った。 ウシ心筋から単離精製した筋肉の細いフィラメント(天然の細いフィラメント)及び天然の細いフィラメント中の内在トロポニンC(TnC)を重水素化TnCに置換した細いフィラメントの2種類の試料を調製し、それぞれの高濃度ゾルを直径3mmのクォーツキャピラリーに封入した後、18Tの高磁場中に静置することにより高配向試料を調製した。(配向試料の調製には理化学研究所播磨研究所前田構造生物化学研究室の設備を借用した。)これらの配向試料の中性子繊維回折測定を、日本原子力研究所所有の中性子小角散乱測定装置SANS-Jを用いて行った。いずれの試料についても、得られた繊維回折像には、細いフィラメントに特徴的なトロポニン(Tn)由来の子午線反射、アクチン由来の層線反射が明瞭に観測された。繊維軸の傾き補正、バックグラウンド除去等の繊維回折像解析のプログラムを開発し、得られたデータに適用し、Tn由来の子午線反射の強度分布を抽出した結果、天然の細いフィラメントと重水素化TnCに置換した細いフィラメントでは強度分布が異なっていることが明らかとなった。これは中性子繊維回折測定から、重水素化成分のみの構造情報を抽出できる可能性を示している。現在、詳細な解析中であるが、中性子繊維回折法の実行可能性は確認されたと考えている。 SANS-Jを用いた測定は広角側の分解能が50Å程度である。詳細な解析のためにはより細かい分解能が必要となるため、分解能10Å程度までの測定が可能な中性子繊維回折測定システムを試作した。中性子イメージングプレートを検出器とし、全体がSANS-Jの試料ゴニオ台に搭載可能なコンパクトな設計とした。現在、システムの調整中であるが、予備的測定で、回折像の測定可能なことは確認済みである。
|