研究課題/領域番号 |
16657037
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
岡本 光弘 大阪大学, 生命機能研究科, 教授 (90028613)
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研究分担者 |
竹森 洋 大阪大学, 医学系研究科, 助教授 (90273672)
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キーワード | 塩誘導性キナーゼ / cAMP / CREB / TORC / 転写共役因子 / 14-3-3 / 細胞質核移行 / ステロイドホルモン |
研究概要 |
副腎皮質細胞をACTHとインキュベートすると細胞内でcAMPを2次メッセンジャーとするシグナル伝達機構が活性化され、その結果ステロイド合成に関わる数多くのタンパク質の遺伝子が発現しステロイドホルモンの分泌が起こる。我々は数年前に高塩食を投与したラットの副腎皮質に特異的に誘導されるプロテインキナーゼをクローニングし「塩誘導性キナーゼ(SIK)」と名付けた。培養副腎皮質細胞を用いてSIKの誘導現象を調べた結果、SIK遺伝子の発現にはプロテインキナーゼA(PKA)の活性化が関わることを見いだした。さらにSIK-DNAとCYP11AやStARなどステロイド産生遺伝子のプロモーター領域をレポーター遺伝子に連結したDNAを細胞に導入してSIKがステロイド産生に及ぼす影響を検査したところ、SIKはこれらの遺伝子の発現を抑制することを見いだした。本研究において、さらにSIKによる遺伝子抑制現象の分子機構を追求した。まずSIKがリン酸化しうるアミノ酸配列のモチーフを明らかにした。その知見を基にデータベースを探索した結果、TORC(Transducers of Regulatory Coactivators)と呼ばれる新しいグループに属するCREB特異的転写共役因子がSIKによってリン酸化されることが分かった。そしてSIKによってリン酸化されたTORCは核から細胞質に移行し、細胞質に存在する14-3-3タンパク質に結合することが分かった。つまりCREBの転写共役因子であるTORCがSIKによってリン酸化されその結果、転写の場である核から細胞質に移行し、ステロイド産生遺伝子の転写が中止する。次に、ACTH刺激によって誘導されるSIKがステロイド産生の活性化ではなくむしろ抑制の方向に働くことの生理的な意義は何であろうかという疑問が生じる。この問題を解決するためには、ACTH刺激後のSIKとステロイド産生遺伝子の発現のタイミングを正確に測定する必要がある。そのためにはRNAiを用いる実験系などを組む必要があり、次年度に向けて準備している。またSIK遺伝子を組み込んだトランスジェニックマウスを作成してSIKの生理的役割をさらに追求する。
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