研究課題/領域番号 |
16657053
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
村田 昌之 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (50212254)
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研究分担者 |
加納 ふみ 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助手 (10361594)
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キーワード | セミインタクト細胞 / GFP可視化 / 小胞体ストレス / 翻訳制御 / タンパク質の一生 / 核移行 / 酸化ストレス / DNAチップ |
研究概要 |
小胞体ストレスや酸化ストレス等の多様な細胞ストレス付加によって翻訳制御を受けている転写因子ATF4の翻訳制御機構を明らかにすることを目的としている。今年度は、1.生きた細胞内で生起するATF4の翻訳制御過程を可視化することができた。ATF4の翻訳制御に関わるとされている5'UTR領域に続いて、ATF4と緑色蛍光タンパク質(GFP)の融合タンパク質をコードする配列を持ったコンストラクトを作成し、この遺伝子を恒発現し、小胞体ストレス(培地へのタプシガルジンやDTTの添加で実現)に応答して初めてATF4-GFP融合タンパク質を発現してくる細胞株(CHO-ATF4-8)をクローニングした。この細胞株は、ATF4-GFPのmRNAを持っているがストレス付加によって初めての翻訳されることをATF4-GFPの核移行過程の可視化により検証した。2.セミインタクト細胞内での翻訳過程および核移行過程を添加する細胞質依存的に可視化・再構成することができた。1.で樹立したCHO-ATF4-8細胞株のセミインタクト細胞を調製し、それに細胞ストレスを与えない細胞群から調製した細胞質(ストレス(-)細胞質)とストレス付加した後の細胞から調製した細胞質(ストレス(+)細胞質)を調製し添加すると、ストレス(+)の細胞質添加時にのみ、ATF4--GFPの発現とその核内移行が観察された。このことは、セミインタクト細胞内で小胞体ストレスに応答したATF4-GFPの翻訳が生起し、かつ、可溶性タンパク質であるATF4-GFP(物資量約30kDaの翻訳因子)がセミインタクト細胞の形質膜にあいた穴から細胞外に漏れ出ることなく、そのターゲット場所である核内へ移行したことを示している。
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