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2004 年度 実績報告書

蛍光放射光による細胞内元素分布測定法の確立

研究課題

研究課題/領域番号 16657061
研究機関国立国際医療センター(研究所)

研究代表者

志村 まり  国立国際医療センター(研究所), 難治性疾患研究部・難治性疾患研究室, 室長 (90226267)

キーワード走査型蛍光X線顕微鏡 / 元素分布 / 細胞 / 医学応用 / リン酸化 / ナノビーム / 高輝度蛍光放射光 / 画像化
研究概要

申請者(志村)はこれまでに、理化学研究所播磨研究所(SPring-8)と大阪大学が共同で開発した世界最小のナノビームによる走査型蛍光X線顕微鏡(SXFM)を用いて、哺乳動物細胞内の元素分布を測定することに成功している。医学利用への応用として、申請者はPt製剤(シスプラチン)に対する耐性獲得機序を明らかにするためで、薬剤耐性がん細胞においてSXFMプロファイルを行ったところ、Ptの取り込み量は通常の2.7倍低く、亜鉛は約3倍高い結果を得た。また、シスプラチンの投与時間に従い、亜鉛とPtは逆相関する傾向を示し、さらに、亜鉛は還元グルタチオンとの相関が高いことを示した。そこで、細胞内亜鉛を亜鉛のキレート剤で減少させたところ、グルタチオンの低下と共にシスプラチンの取り込み量が増大し、耐性細胞の致死率も増大する結果を得た。SXFMにより、抗がん剤耐性細胞に有効な治療法を選択できる可能性とSXFMの医学領域での有用性が示唆された(投稿中)。
さらに現在、リン酸化の蛋白修飾を画像化するためには、比較的低エレルギー元素PのSXFM測定の感度を得るために、低バックグラウンドの細胞基板開発が重要である。本年度は、素材の検討を詳細に行った。数種の低エネルギー元素からなる高分子素材について、蛍光X線でのバックグラウンド測定と、細胞親和性試験を行った。高分子素材すべてにおいて、P測定がX線工学的に可能であった。カプトンおよびルミラーは、加工強度、滅菌処置の耐久性も十分であったが、細胞接着性が乏しく、細胞増殖能を低下させた。使用には、さらに表面加工処理が必要と考えられる。一方、高輝度X線エネルギーの増大が可能となり、P測定の感度が改善されることが期待される。コントラストの良い画像を得るためにも、低エネルギー元素からなる基板を早期選定が不可欠である。

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公開日: 2006-07-12   更新日: 2016-04-21  

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