研究概要 |
カイメンを用いた研究は、遺伝子レベルでの解析が殆ど行われていず、手法も確立されていない。本年度我々は、1.ESTライブラリーの中に見いだしたneuropeptide関連分子の発現を解析する手法として、芽球よりhatchしたカワカイメンに対するwhole mount in situ hybridization法を新たに確立した。2.さらに、光を乱反射する芽球の殻を固定後取り除き、TSA systemを用いた蛍光による検出を用いたdual color in situ hybridizationの系も確立した。Ef_092095_P21(ヒドラneuropeptideに非常に低い相同性のあるクローン),Ef_023025_G08(neuropeptideのアミド化を担う酵素;PAM/PAL)、Ef_203_I06(neuropeptideの分泌顆粒膜に存在するcytochrome b561)は、それぞれ、hatch後7日のカイメンにおいて、形態的に識別可能な食細胞:choanocyteでは発現せず、体に散在する大型細胞でやや弱い発現があった。Dual color in situ hybridizationを行ったところ、Ef_023025_G08とEt_203_I06の発現パターンが一致する事が明らかになった。即ち、アミド化neuropeptideを発現していると期待される細胞がカイメンにも存在する。カイメンの体に散在する細胞は形態的に6種類ほど報告されているが、現在、我々はcell type specific molecular markerを探索しており、得られたmarker遺伝子、シグナル関連遺伝子との共発現等を解析することで、アミド化neuropeptideを発現していると期待される細胞のcell type、また、どの様なシグナルとしてアミド化neuropeptideを用いているのかを解析する予定である。
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