研究概要 |
ギンネムのミモシン分解酵素(mimosine aminohydrolase, or mimosinase, EC 3.5.1.61)については、昨年度、単一精製後に決定した15残基の部分アミノ酸配列をもとに、縮重プライマーを設計し、ギンネム葉より調製したpolyA-RNAを鋳型にしてRT-PCR、RACE法を行い、ORF全長を含むcDNAを得た。塩基配列の決定を行ったところ、得られたcDNA配列より推測されたギンネムのミモシン分解酵素は、44残基の葉緑体移行シグナルと思われる配列を含む443個のアミノ酸からなり、ホモロジーサーチの結果、シスタチオニンβリアーゼ(CBL)と最も高い相同性を持つものであることが明らかになった。ORF部分を発現ベクターに組み込み大腸菌で発現させた所、得られたミモシン分解酵素の組み換えタンパク質は、ミモシン分解活性を発現した。しかし、最も相同性の高かったCBLの活性は示さなかった。平行して、さらにCBLと相同性が高く、ギンネムのCBLそのものと考えられる別のcDNAも得られた事から、ギンネムのミモシン分解酵素遺伝子は、過去においてCBL遺伝子から重複して生じた遺伝子より進化したことが推定された。また、現在解析中であるが、ギンネム同様にミモシンを持つ、オジギソウからも、ギンネムのミモシン分解酵素遺伝子との相同性を利用して、ミモシン分解酵素と思われるcDNAとCBLと思われるcDNAが独立に得られている事から、オジギソウとギンネムが分岐する前から、CBLから重複して生じたミモシン分解酵素遺伝子は存在していたことも推定される。 ミモシンを分解する土壌細菌であるミモシン資化性菌のミモシン分解酵素については、2種のもの(Sphingomonas属及びArthrobacter属)についても、アミノ酸配列決定を行うための単一精製に成功した。
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