研究課題
今年度の研究成果は次のように要約される。[1]前年度までに、ミトコンドリア型ピルビン酸脱水酵素(PDH)を標的にしたアンチセンス法により、タペート細胞のミトコンドリア機能が損われた形質転換タバコを作成した。半数の形質転換タバコは花粉不稔を示した。これらの花粉不稔タバコを供試し、光学顕微鏡下で葯におけるタペート細胞の形態を調べた。[2]正常型のタバコ野生株では、小胞手前期にタペート細胞が消失し始める。これに対して花粉不稔タバコにおいては、タペート細胞が肥大し小胞子を押しつぶす事例がしばしば監察された。肥大したタペートでは多核化や液胞化が生じている。[3]DAPI染色によりタペート細胞を観察した。正常型のタバコ野性株では、四分子期にタペート細胞が目立って発達するのに対して、花粉不稔タバコではこのような発達が認められず、四分子の構成胞子の一部に細胞壁の陥没や変形がみられた。小胞子前期に至ると、正常株のタペート細胞では核が収縮しDAPI蛍光のシグナルも強くなる傾向が認められた。一方、花粉不稔タバコのタペートにおいては、多核化が確認されるとともに、核の収縮はみられず、また蛍光シグナルの強度も変化しない。[4]花粉不稔タバコの葯で発現の阻害又は亢進の生じている遺伝子を探索した。その結果、lipid transfer proteinをコードする遺伝子の転写が小胞子前期で阻害されていることが判明した。[5]アセトアルデヒド脱水素酵素(ALDH)はPDHのバイパス経路にかかわる酵素の1つである。ALDHのコード遺伝子については、花粉不稔タバコの葯において転写が小胞子前期で若干亢進している傾向が認められた。
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Proceedings of XVII EUCARPIA Genetic Res Resources Section Meeting, Castelsardo, Italy (in press)