研究概要 |
本研究では,C_3-C_4中間植物(Diplotaxis tenuifoliaとMoricandia arvensis)とC_3作物(ダイコン)との間で属間交雑を行い,ゲノム混合比が異なる系統(複半数体,複二倍体,二基三倍体)および1対染色体添加系統のモデル植物を作出し,これらの系統における光呼吸に関わる諸形質の発現パターンを調べるとともに,光呼吸制御の遺伝機構をゲノム,染色体および遺伝子レベルで明らかにし,光呼吸の効果的な制卸による光合成物質生産の向上に関する新たな知見を探ることを目的としている. 16年度の研究成果として 1.C_3-C_4中間植物(D.tenuifolia ; DtDtゲノム,2n=22)とC3植物(ダイコン,Raphanus sativus;RRゲノム,2n=18)との属間雑種を育成し,戻し交雑のBC_1世代で二基三倍体植物(DtRRゲノム,2n=29)を得た.二基三倍体雑種植物を花粉親に用いたダイコンとの戻し交雑BC_2世代植物において83個体の体細胞染色体数を観察した結果,39個体のD.tenuifolia染色体添加ダイコン系統(RR+1dt,MAL_s,2n=19)を得た.その他,2n=20,21,22,23および24染色体数を持つ植物がそれぞれ16,5,3,2および2個体が得られた. 2.39個体のD.tenuifolia 1染色体添加ダイコン系統は,それらの形態・生理的特徴,細胞遺伝学的特性およびRAPD分析による分類を行っている. 3.39個体のD.tenuifolia 1染色体添加ダイコン系統におけるCO_2補償点の測定結果,34.8〜44.7u mol mol^<-1>の範囲で平均は38.8±2.43.2u mol mol^<-1>を示した.種子親であるD.tenuifolia(C_3-C_4中間植物は19.8±3.2u mol mol^<-1>であり,反復親であるダイコンでは38.8±2.4u mol mol^<-1>を示した. などの結果を得ており,現在D.tenuifolia 1対染色体添加ダイコン系統(RR+1dtdt,DALs,2n=20)を育成するための実験を進めている.
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