• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2004 年度 実績報告書

作物根における根圏酸化機能とその生理的意義

研究課題

研究課題/領域番号 16658007
研究機関京都工芸繊維大学

研究代表者

巽 二郎  京都工芸繊維大学, 繊維学部, 教授 (00163486)

キーワード根圏 / ムラサキ / シコニン / 根系 / 周皮
研究概要

植物根による根圏の酸化機能は,根から放出される酵素類,ラジカル,有機酸,アミノ酸,タンパク質,無機物質などの種々の物質の放出と分泌作用と深く関連している。根組織からのこれらの物質の放出・分泌は根の周辺組織である表皮,外皮,下皮,周皮,皮層などの内皮に囲まれた中心柱組織より外層の部位で活発に営まれていると推察されている。根組織から放出・分泌された物質はこれらの組織細胞から細胞周辺のアポプラストを経て根圏に至り,そこに存在する物質や微生物と相互作用を持つことになる。
薬用植物の一種であるムラサキの根にはナフトキノン誘導体の一種で有色のシコニン類が蓄積する。この物質は電子の授受作用を有することから,種々の生理作用が知られている。シコニンは細胞内において分泌顆粒として蓄積する。シコニンは粗面小胞体で合成された後,細胞膜と細胞壁の間隙に顆粒状で蓄積し,その後細胞壁外へと分泌される。土壌で生育したムラサキ根におけるシコニンの動態は次のようであった。幼根においては根冠細胞,表皮,皮層,内皮に蓄積し,これらの細胞の脱落とともに根圏に放出される。つぎに根の肥大とともに一次・二次周皮に蓄積が進行する。この過程で周皮のアポプラストに蓄積したシコニンが根圏に分泌・放出される。さらに肥大が進むと,周皮が褶曲して組織表面積が増大し,シコニンの蓄積が増加する。いっぽう損傷を受けた組織において周皮が形成され,そこにもシコニンが蓄積する。これとは別に,中心柱内部の導管などに接する組織においてもシコニンの蓄積が部分的に認められた。以上のことからシコニンを蓄積する組織は表皮や周皮などの厚壁化する防御組織が主であるが,これ以外の組織においても認められることから,リグニンなどの蓄積による細胞壁の厚壁化と密接な関係を持つことが示唆された。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2005 2004

すべて 雑誌論文 (3件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] ムラサキ根系におけるシコニンの分布2005

    • 著者名/発表者名
      鵜飼邦明, 小野好一, 巽 二郎
    • 雑誌名

      近畿作物育種研究 50(印刷中)

  • [雑誌論文] ムラサキ根におけるシコニンの蓄積2004

    • 著者名/発表者名
      谷崎智子, 巽 二郎
    • 雑誌名

      根の研究 13・4

      ページ: 183

  • [雑誌論文] Root development of Glycyrrhiza uralensis grown in a root tube.2004

    • 著者名/発表者名
      Khadka, J., Shibata T., Yamamoto, Y., Tatsumi, J.
    • 雑誌名

      Root Research 13・2

      ページ: 89

  • [図書] 新編農学大事典2004

    • 著者名/発表者名
      巽 二郎(山崎耕宇他編)
    • 総ページ数
      1786
    • 出版者
      養賢堂

URL: 

公開日: 2006-07-12   更新日: 2016-04-21  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi