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2005 年度 実績報告書

作物根における根圏酸化機能とその生理的意義

研究課題

研究課題/領域番号 16658007
研究機関京都工芸繊維大学

研究代表者

巽 二郎  京都工芸繊維大学, 繊維学部, 教授 (00163486)

キーワードムラサキ / シコニン / 根圏 / 周皮 / カンゾウ / グリチルリチン / 15N
研究概要

植物根による根圏の酸化機能は,根から放出される酵素類,ラジカル,有機酸,アミノ酸,などの種々の物質の放出と分泌作用と深く関連している。薬用植物の一種であるムラサキの根にはナフトキノン誘導体の一種で有色のシコニン類が蓄積する。この物質は電子の授受作用を有することから,制菌作用をはじめ種々の生理活性を有することが知られている。土壌で栽培したムラサキ根におけるシコニンの動態は次のようであった。幼根においては根冠細胞,表皮,皮層,内皮に蓄積し,これらの細胞の脱落とともに根圏に放出される。つぎに根の肥大とともに一次・二次周皮に蓄積が進行する。この過程で周皮のアポプラストに蓄積したシコニンが根圏に分泌・放出される。さらに肥大が進むと,周皮が褶曲して組織表面積が増大し,シコニンの蓄積が増加する。いっぽう損傷を受けた組織において周皮が形成され,そこにもシコニンが蓄積する。これとは別に,中心柱内部の導管などに接する組織においてもシコニンの蓄積が部分的に認められた。以上のことからシコニンを蓄積する組織は表皮や周皮などの厚壁化する防御組織が主であるが,これ以外の組織においても認められることから,リグニンなどの蓄積による細胞壁の厚壁化と密接な関係を持つことが示唆された。またシコニンは根系内において不均一に分布しており,地表から15〜25cmの部位で最も高い含有率を示した。
薬用植物のカンゾウは肥大した根にグリチルリチンを蓄積する。この主根における濃度は,地表に近い部位で高く,深くなるに従い低下することを明らかにした。また主根におけるグリチルリチン濃度と15N自然存在比とが密接な関連を有することが推定された。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2006 2005

すべて 雑誌論文 (6件)

  • [雑誌論文] Variation of δ 15N signatures among plant parts of perennial species subjected to drought stress with special reference to contribution of symbiotic N2-fixation to plant N2006

    • 著者名/発表者名
      Khadka, J., Tatsumi, J.
    • 雑誌名

      Plant Production Science 9(2)

      ページ: 115-122

  • [雑誌論文] Change in Intra-plant Distribution of δ 15N in Response to Shading in Legumes2006

    • 著者名/発表者名
      Khadka, J., Tatsumi, J.
    • 雑誌名

      Plant Production Science 9(3)(In press)

  • [雑誌論文] ムラサキ根の周皮形成とシコニンの蓄積2005

    • 著者名/発表者名
      谷崎智子, 巽 二郎
    • 雑誌名

      日本作物学会紀事 74別号2

      ページ: 350-351

  • [雑誌論文] 根箱栽培におけるカンゾウ実生の根系発達2005

    • 著者名/発表者名
      巽 二郎, カドカ ジャナルダン
    • 雑誌名

      第3回甘草に関するシンポジウム〜持続的国内栽培生産を目指して 講演要旨集

      ページ: 8-11

  • [雑誌論文] 資源植物の現状と将来2005

    • 著者名/発表者名
      巽 二郎
    • 雑誌名

      近畿作物育種研究 50

      ページ: 21-26

  • [雑誌論文] ハーブ根系が生分解性フィルムの分解におよぼす影響2005

    • 著者名/発表者名
      山本知佳, 巽 二郎
    • 雑誌名

      根の研究 14(4)

      ページ: 182

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公開日: 2007-04-02   更新日: 2016-04-21  

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