研究概要 |
平成17年度までに,以下の諸点を明らかにした.1)有機物の分解は,0〜80℃の範囲内であれば,加熱するほど良い結果を得られたが,生石灰に水を加えた発熱反応では,最高温度は80℃に達するものの,発熱継続時間は数分程度であり,有機物を十分に分解するためには,発熱時間および発熱量が足りず,別途加熱装置を用いるなどの方法により,外部から加熱を促す必要があった.2)アルカリ加水分解により,園芸有機物残渣から,最大で80%程度の窒素を遊離することが可能であることが明らかとなった.上記の研究成果を踏まえ,平成18年度では以下の諸点について検討を行った.1)アルカリの種類を変えることにより,加水分解の程度を更に改良した.その結果,有機物残渣の種類によっては,ある程度実用的な段階まで有機物を分解できるものと推察できる結果が得られたものの,コスト面などに於いてはなお一層の改良を必要とされた.2)一旦微生物を用いて難分解有機物(リグニンやセルロースなど)の分解を促した上で,更にアルカリ加水分解による窒素成分の遊離を試みた.その結果,微生物による分解をどの程度まで制御すべきか,微生物の種類や分解方法をどうすべきかといった課題は残るものの,ほぼ期待したとおり,全ての窒素を有機物から取り除くことが可能であると推察できる結果が得られた.したがって,今後本研究を発展させるには,最初に,難分解性有機物を含む園芸作物残渣の分解を促進する微生物の種類,微生物による分解特性や分解条件を検討し,その上で,本研究期間を通じて得られたアルカリ加水分解による有機物の分解を併用することにより,今まで困難であった難分解性園芸作物残渣の実用的な処理が計れるものと考えられた.
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