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2006 年度 実績報告書

農業用水路における流下種子の実態解明と植生復元への応用可能性の検討

研究課題

研究課題/領域番号 16658013
研究機関東京大学

研究代表者

加藤 和弘  東京大学, 大学院農学生命科学研究科, 助教授 (60242161)

キーワード種子 / 水散布 / 種組成 / 種多様性 / 谷津田 / 畦畔 / 植物群落 / 水田管理
研究概要

谷頭部の湿地や両側斜面の裾刈草地など周辺に種の豊富な草地を有する谷津において、内部の水路が種子散布の経路となって下流部に種子を供給し、谷津内の草地の植物種の多様性の維持に寄与している可能性がある。栃木県市貝町の谷津で、水路内に堆積した土砂を上下流方向に沿って一定間隔で採取し、含まれる種子の種組成の変化パターンを解析したところ、湿地生種を主体として全体で159種が確認された。サンプルあたり平均種数は31.6、堆積物1Lあたり種子数は277と推定された。種子の種数や密度の変化、ならびにpartial RDAによって解析された種子の種組成の変化パターンは、土砂粒径および上流からの距離、リター被覆率の変数と特に強い相関を示した。得られたパターンと環境条件との関連から、水路を通じた種子散布が生じていることが示唆されたが、種によりその重要性は異なり、kmオーダーで水流による種子散布が生じている種は一部に過ぎない、つまり、長距離の種子移入よりも、比較的狭い範囲での種子移入が卓越しているものと考えられた。実際に同谷津内で立地条件の異なる様々な半自然草地(裾刈り斜面、畦畔平坦面、休耕田、放棄田、農道等)について現存植生を調査し、種多様性や種組成、生活型組成の比較を行うことで、各草地タイプの特徴づけを行ったところ、人為的な改変がなされていない水路に隣接した畦畔平坦面もまた裾刈り草地と並び種多様性の高い草地であることが示された。水路を通じた種子の供給がこの結果の背景にあるものと考えられ、かつ、定期的に水路を掘りあげ、掘った土を畦の補修に用いるという伝統的な水田管理が、水路を通じて散布された種子の地上部への定着を促進しているものと考えられた。なお、水路中の堆積物を植生復元に利用するためには、在来種の種子が堆積しやすい場所の性質などをさらに明らかにしていく必要がある。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2007

すべて 雑誌論文 (1件)

  • [雑誌論文] 谷津田周辺に存在する各種半自然草地の植物種組成からみた相互関係2007

    • 著者名/発表者名
      伊藤浩二, 加藤和弘
    • 雑誌名

      日本造園学会誌ランドスケープ研究 70(5)(印刷中)

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公開日: 2008-05-08   更新日: 2016-04-21  

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