本年度は、時間や労力のかからないバリアフリー情報収集手段に関する基礎的検討を行った。近年、災害や環境、教育などの現場において市民参加型の新たな情報収集ツールとして、GPSを搭載したデジタルカメラの利用が着目されている。本ツールの特徴は位置情報を有する画像データを簡便に取得でき、かつ画像データからは多様な情報が読みとれる点にある。ここでは、公園管理専門家および障害当事者によるGPSカメラ画像判読からどのようなバリアフリー情報が取得できるのかを検証するとともに、得られた情報を用いてバリアフリーマップを作成、その特徴について考察した。ここでは、移動障害に限定した上で、公園緑地を(1)散策や景色、花タイプ、(2)屋外レクリエーションタイプ、(3)歴史伝統・文化タイプ、の3つに分けて調査を行った。移動障害の観点から見た場合、一般的に(1)は良好なバリアフリー環境、(2)は一部にバリア、(3)は数多くのバリアを有する場合が多い。公園管理専門家による判読からはハード整備に関する情報および利用する際のマイナス面情報が得られた。しかしながら、利用する際のプラス面情報は得られず、各情報の割合はバリアフリーレベルの優劣に応じたものとはならなかった。一方の障害当事者による判読からはハード整備に関する情報とともに、利用者する際のプラス面・マイナス面情報が対象地のバリアフリーのレベルの優劣に応じて得られており、マップ作成のための有効な情報源となりうると考察された。当該バリアフリー情報を現地調査データと比較した結果、おおよそ整合性がとれていたものの、定量的データ(高さや幅等)および人的サービスについての情報が取得できない点が指摘された。
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