研究概要 |
1)分離した窒素固定酵母の窒素固定能に関する検証 無窒素最少培地での生育を指標に分離した、窒素固定能を有すると考えられる酵母数株について、再度無窒素最少培地での生育を検討したところ、固体培地では微弱ながら生育が認められた。しかしながら液体培地では、様々な培養条件を試みたにもかかわらず、生育は認められなかった。さらに、ニトロゲナーゼ活性をアセチレン還元により検出することを試みたが、様々な酸素条件で検討を加えたが、同活性は検出できなかった。以上の結果より、当初の予想に反して、分離酵母株は窒素固定能をほとんど有していないことが明らかになった。 2)新たな窒素固定菌の分離・同定 上記酵母株を分離したのと同じ生ごみ堆肥を出発材料として、新たに窒素固定菌の分離を試みた。その結果、明らかなニトロゲナーゼ活性を示す株として、6H33b株を取得した。本菌株について生理生化学的解析及び系統学的解析を行ったところ、Pseudomonas属に属する新種であることを明らかにし、Pseudomonas azotifigens 6H33b^Tと命名した(Int.J.Syst.Evol.Microbiol., in press)。従来Pseudomonas属細菌では、P.stutzeri A1501株のみが窒素固定能を有していることが報告されていたが、そのtype strainであるP.stutzeri NCIMB 11358^T、ならびにP.azotifigensと最も近縁なPseudomonas indica IMT37^Tが窒素固定能を有していないことも明らかにした。このことからPseudomonas属細菌の窒素固定遺伝子が複雑な進化の経路をたどっていることを推察した。
|