研究課題/領域番号 |
16658053
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
宮澤 陽夫 東北大学, 大学院・農学研究科, 教授 (20157639)
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研究分担者 |
仲川 清隆 東北大学, 大学院・農学研究科, 助教授 (80361145)
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キーワード | C型肝炎・肝癌 / 過酸化リン脂質 / 酸化ストレス / トランスジェニックマウス / プラスミド導入HepG2 / 膜脂質過酸化 / 東北地域農産物 / 食品機能成分 |
研究概要 |
我が国の肝癌による死亡者は年間3万人を超す。肝癌の約80%はC型肝炎ウイルス(HCV)の感染に起因する。HCV感染による肝癌発症は深刻な社会問題になっている。我々はこれまでに、HCVコア遺伝子を導入したトランスジェニックマウスは、若齢期では変化がないが老齢期(>16ヶ月齢)に入ると、肝細胞癌の形成とともに肝臓の過酸化リン脂質(PCOOH)濃度が著しく増大することを見出した。この意味するところは、HCV感染から肝細胞癌化に至る病変に対して、食品機能成分による肝臓の脂質代謝改善および抗酸化処置の有効性を強く物語った。そこで本研究では、肝臓PCOOHを指標として、C型肝炎における肝炎から肝発癌の形成過程の酸化ストレス(PCOOH増加)を緩和できる食品機能成分を見出し、肝炎・肝癌の予防に役立てることを目的とした。 本年度(平成16年度)は培養細胞試験を行い、C型肝炎の酸化ストレスを緩和できる食品機能成分を農産物から検索した。方法として、トランスジェニックマウスの作製に使用したプラスミドをHepG2肝癌細胞に形質転換した。作製したプラスミド導入HepG2は、コア蛋白を高発現し、脂肪滴の出現とともにオルガネラ膜リン脂質の過酸化が誘発された。そして最終的には、アポトーシスを引き起こして死に至った。現在、この様なHCVによる悪影響(膜脂質過酸化の亢進、コア蛋白の発現、脂肪滴の形成、アポトーシスの誘導)を緩和できる食品機能成分を農産物からスクリーニングしている。東北地域農産物からのいくつかの抽出物に強い活性が発見されており、これらの抽出物中の活性分子について、化学構造とその作用機構の解析を行っている。
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