研究概要 |
研究代表者・長岡は、90年以上の長い間誰も発見できなかったコレステロール低減化ペプチドを世界に先駆けて牛乳から初めて発見し、ラクトスタチン(IIAEK)と命名した(Biochem.Biophys.Res.Commun.,281,11-17(2001))。さらに、HepG2細胞において、ラクトスタチンは、胆汁酸生成の律速酵素であるコレステロール7α-水酸化酵素(CYP7A1)の遺伝子の転写活性化により、コレステロールの分解を促進することを発見した。しかし、ラクトスタチンがどのような機構で、CYP7A1の遺伝子の転写活性化を誘導するかは、不明である。そこで今回は、ラクトスタチンによるCYP7A1遺伝子転写活性化機構について、HepG2細胞を用いて、分子・遺伝子レベルで解明することを試みました。 検討の結果、HepG2細胞において、ラクトスタチンによるCYP7A1のmRNAの増加は、MAPキナーゼキナーゼ、カルシウム(Ca)チャンネル、Caカルモジュリンキナーゼ阻害剤により完全に防止されました。細胞内Caも上昇することを発見しました。よって、大変興味深いことに、人間の肝臓には、Caチャンネルに関連したMAPキナーゼ依存型の新しいCHOL分解系が存在すると考えられます。
|