研究課題/領域番号 |
16658057
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
寺尾 純二 徳島大学, 大学院ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (60093275)
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研究分担者 |
河合 慶親 徳島大学, 大学院ヘルスバイオサイエンス研究部, 助手 (50380027)
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キーワード | 酸化ストレス / 過酸化脂質 / リピドーム / TLCブロット / GC-MS / アラキドン酸 / 脂質ヒドロペルオキシド / アルデヒド |
研究概要 |
酸化ストレスは様々な疾患の発生と憎悪に深く関わるため、酸化ストレス制御は食品機能の重要な評価対象である。本研究はパーオキシリピッド(過酸化脂質:LOOH)を一斉網羅的に解析する手法であるパーオキシリピドーム解析法を開発し、酸化ストレス制御評価法として確立することをめざす。本年度は昨年度に続いて、われわれが既に開発したDPPP-TLCブロット分析法を生体組織中に存在する脂質ヒドロペルオキシド(LOOH)の一斉分析に適用することを試みた。紫外線照射したヘアレスマウス皮膚の脂質抽出物をDPPP-TLCブロット分析し、分画したLOOHをTMS誘導体としてGC-MS/SIM分析を行うことにより、コレステロール7α/β-OOHOおよび5α-OOHの生成が確認された。したがって、DPPP-TLCブロット法はGC-MS/SIMと組み合わせることにより生体試料からのLOOH定量が可能であることが明らかになった。そこで、生体中のLOOH一斉網羅分析のための二次元DPPP-TLCブロットの条件を設定した。次にわれわれは昨年度に引き続き、脂質過酸化二次生成物であるアルデヒド類を標的としたリピドーム解析をGC-MS法で行うことを試みた。各鎖長のアルデヒド類をPFB誘導体としてGC-MSに一斉導入し、フラグメントイオン(m/z=181)でSIM分析を行った。本年度はプロモベンゼン胃内投与により酸化誘導したマウスの肝臓から本法にてアルデヒドを一斉分析した。その結果、9種類のアルデヒドが検出され、特にマロンジアルデヒド、2-ヒドロキシヘプタナール、4-ヒドロキシノネナール、4-ヒドロキシヘキセナールは一般的な脂質過酸化指標であるTBARS値とよい相関性が得られた。個々のアルデヒドの前駆LOOH異性体に関する知見も蓄積したことから、本法は生体試料中の脂質過酸化反応機構を推定するための有力な手段となることがわかった。
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