研究概要 |
酸化ストレスの制御は食品機能の重要な評価対象である。本研究はパーオキシリピッド(過酸化脂質)を一斉網羅的に解析する手法を開発し、酸化ストレス制御評価法として確立することをめざす。本年度は過酸化脂質の分離分析へのOPLC(Overpressured Layer Chromatography)の利用を試みた。OPLCの2次元展開により各脂質分子種が再現性よく分離されることを確認した。さらにTLCによる過酸化脂質の特異的検出法であるDPPP法がOPLCにも適用できることを認めた。したがって、DPPP-OPLCとGC/MSを組み合せることにより再現性のよいパーオキシリピドーム解析が可能になると考えられた。次にマウス皮膚を対象にして、脂質中に存在する脂肪酸ヒドロペルキシド異性体の一斉分析を試みた。常法で皮膚から脂質抽出しNaBH_4還元およびトランスメチル化後,TLCにてヒドロキシ脂肪酸メチルの画分を得た。さらにTMS誘導体としてGC/MSに供しSIM法で定量した。内部標準物質として^<13>Cラベルした脂肪酸メチルから調整したヒドロペルオキシドを用いた。分析結果から、マウス皮膚中にはオレイン酸およびリノール酸由来のヒドロペルオキシド異性体が蓄積することが明らかになった。さらに異性体組成から、一重項酸素が発生して脂質過酸化反応を惹起することが示された。一方、GC/MSによる酸化コレステロールの一斉分析のための分析条件を検討したところ、やはりSIMによる解析を必要とすることがわかった。さらにシトステロールヒドロペルオキシドを内部標準に用いてマウス皮膚に存在する酸化コレステロールのDPPP-TLCブロットおよびGC/MS/SIM分析を行った。その結果、ヒドロキシコレステロールの異性体を定量することができた。
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