研究概要 |
森林流域あるいは森林生態系における物質循環研究において,溶存態の窒素、特にNO_3-の窒素と酸素の安定同位体比を同時に測定する新たな分析手法を適用しつつ,サンプリングからデータ解析までの総合的な調査手法を確立することを目的とし,新しいNO_3-の安定同位体比測定手法(脱窒菌法)ための,実験設備の整備,方法の改良をおこなった. 新しいNO_3-の窒素・酸素安定同位体比の測定手法では,脱窒菌を用い,サンプル中のNO_3-をすべて脱窒させてN_2O(気体)にし、N_2Oガスを質量分析計に導入して同位体比を測定する.手順は以下の4ステップからなる.1)脱窒菌の培養と収穫 2)サンプル中のNO_3-を脱窒菌によってN_2Oに変換 3)変換されたN_2Oを質量分析計(現有)に導入して同位体比を測定 4)得られたN_2Oの質量数から窒素と酸素の同位体比を計算(標準物質を用いて校正). 本年度は,このうち,1),2),3)のステップについては作業環境(機器,用具)の整備,手順の確立をした.1)について,実験室における脱窒菌の培養環境の整備した(現有インキュベータ,遠心分離機等を利用).2)については,脱窒菌のN_2Oへの変換状況の確認のために,溶液中のNO2濃度をモニターし,最適な培養環境を継続するプロトコルを作成した.3)については,試料からのN_2Oガスの導入には,キャリアガスの流量,N_2O・CO_2の分離用ガスクロ(現有)の調整,クライオフォーカス(冷却濃縮)の時間調整など,試行錯誤が必要な手順が複数ある.これの調整を質量分析計の仕様に沿って実施し,分析のプロトコルを作成した.
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