研究課題
平成17年度は、前年度のレビュー研究をもとに、Slippage論に焦点を当てた文献研究を中心におこなった。そこで、社会関係資本の概念をSlippage論を通した解釈についてのとりまとめをおこなった。地方行政による林野行政の事業や政策実施の不履行を「目こぼし」と位置づけ、これをD.FarberによるSlippage論を援用して、事象解釈の研究を進めた。途上国の地方行政による政策や事業実施の不履行を、これまでのように単に怠惰であると否定的に見るだけではなく、政策実施による地域住民の生計の不利益を防止し、また一定程度の持続可能な森林管理に役立っていると肯定的に解釈した。関連分野の文献調査では、「政治生態学」、「ガバナンス論」、「行政裁量論」などについて、それぞれを上記のSlippage論とも関連付けて情報の整理を行っている。ラオスへのフィールド調査は、主に中央政府機関である農林省、地方行政機関である県農林局、郡農林事務所、そして地域住民とそれぞれのアクターごとの動向把握に努めた。これら研究成果の一部をもとに、米国北イリノイ大学で開催された第一回ラオス研究学会において、地方行政の目こぼしが地域住民に受益するという観点に着目した発表をおこなった。現在その学会のプロシーディングスは印刷中である。平成18年度は、上記の成果を踏まえて文献研究をまとめ上げるとともに、数回のフィールド調査を実施し、総括的なとりまとめをおこなう予定である。
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International Journal of Sustainable Development and World Ecology, U.K. 13(1)
ページ: 16-24
Proceeding of the First International Conference on Lao Studies, Northern Illinois University, U.S. (印刷中)