研究概要 |
圧縮木材が水分を吸って元の寸法に戻ろうとする性質を利用して、接着剤や金物を一切使わないクリーンな接合法の開発を目指して研究開発に着手した。最初の取り組みとして、本当に、圧縮木材の膨らみが引き抜き抵抗力を発揮するものかどうかを確認するために、スギ圧縮木材で作った木ダボを、母材に通し、木ダボの木口部に水分を添加することで一端を膨張させ、引張りに抵抗するような試験体を作成して、この仮定を確認した。 実験条件として、十分に温めたスギ気乾材を105℃のプレス機で10分間成形後、常温まで冷却し、解圧した。寸法は、木口面25×20mmが15×15mm(元面積の45%)になるように、縦・横2回に分けて圧縮した。その後、φ12mmのダボに加工した。105mm角スプルース集成材の母材にφ12mmの穴を開け、ダボを通した後、ダボの先端に水分を加えて回復させ、引き抜き実験を行った。試験は、添加した水分が十分に乾燥してから行った。試験体の種類は、ダボの挿入方向によって、L(繊維方向)・R(半径方向)・T(接線方向)の3種類とした。ダボの寸法は、d=12mmとし、g, Dを変化させた(図2)。gは9,12,15,18,21と段階的に変化させ、Dはそれぞれのダボの回復状況に任せた。試験の結果、ダボの膨張体積と最大荷重には正の相関が見られた。また、L方向にダボを挿入した試験体は、R・T方向に比べて、最大荷重が小さくなった。R・T方向は、ダボが引抜かれる際に繊維の抵抗を受けるためと考えた。
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