研究課題
1)圧縮木ダボを用いた柱-土台斜めダボ補強今年度は、柱-土台の引抜きに対する補強のため、圧縮木ダボを斜めに挿入した柱-土台引抜き試験を行い、その性能を確かめた。試験体の種類は、L字金物(CP・L)片側打ち(LK・ZN65クギ10本):圧縮木ダボ2本斜め挿入補強(D2:φ13mm先穴、角度30°)・圧縮木ダボ4本斜挿入補強(D4)の3種類とした。柱には120mm角のスギ芯持ち材、土台には120mm角のヒノキ芯持ち材を用いた。柱-土台間は長さ60mmの長ホゾ加工で込み栓打ちとした。ダボ挿入後、ダボの両端に水分を添加し、圧縮木ダボを回復させた。D2・D4試験体に用いた圧縮木ダボは、密度0.67g/cm^3、MOR140MPa、MOE8.83GPaで圧縮率は元寸法の47%であった。試験は、土台を固定し、柱を引抜いた。D2・D4試験体では膨張回復が十分なものは、Pmax=4kN程度でダボが引張破断した。しかし、うまく膨張回復しなかったものは、ダボが引抜かれてしまい、Pmaxが低かった。D4は、D2の約2倍のPmaxを示し、D4のPmaxは、LKの7割程度で、エネルギー吸収量は4割程度だった。D4は、LKに匹敵する補強効果があるとは言いがたく、更なる改良が必要であった。2)スギ圧縮木材の込み栓への応用従来のシラカシ込み栓に加えて、スギ圧縮木材(圧縮率35%)を伝統木造建築の込み栓に使用することを意図して新しい研究を開始した。シラカシに比較すると温湿度の変化に対して応力緩和が少ないことがよび実験で確認できた。また、常に込み栓が内部で膨張しようとするため、仕口の密着性が長時間経過しても良好で、超小型応力センサーを使用した突きつけ面の接触応力度は、施工150日後にシラカシ込み栓で完全にゼロとなったのに比べ、初期値の20%以上の接触応力を保っていた。2)結論圧縮木材を丸ダボ、込み栓、さらには楔として利用することによって、接着剤が不要で、かつ応力緩和の起こりにくい環境調和型の接合が実現できる可能性が今回の萌芽研究の結果大きくなった。
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木材学会誌 52(1)
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第55回日本木材学会大会研究発表要旨集(CD-ROM)
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Sustainable Humanosphere (Bulletin of Research Institute for Sustainable Humanospehere, Kyoto University) No.1
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