研究課題/領域番号 |
16658072
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
奥村 正悟 京都大学, 農学研究科, 教授 (40109046)
|
研究分担者 |
藤井 義久 京都大学, 農学研究科, 助教授 (10173402)
澤田 豊 京都大学, 農学研究科, 助手 (80226076)
|
キーワード | マイクロフォーカスX線CT / 木材乾燥 / 自由水 / 可視化 |
研究概要 |
マイクロフォーカスX線CT装置を用いて乾燥中の木材における自由水の存在状態や移動を細胞レベルで明らかにするため、16年度の成果に基いて以下の研究を行った。 1.ヒノキおよびスギの気乾材(辺材と心材)から繊維方向を長軸とする直径5mmの丸棒を作成し、これを長さ15mmごとに丸鋸で切断したものを試料とした。これらは減圧下で飽水状態にした後、実験に供した。 2.試料は両木口面を弾性接着剤でシールし、シリカゲルを入れたデシケータ内(温度17〜19℃、関係湿度18〜20%)に吊るして乾燥した。試料の乾燥状態は、予備実験で得たアコースティック・エミッション(AE)の発生経過と含水率の経時変化の関係に基づいて判定した。 3.種々の乾燥状態にある試料を、分解能の異なる2種類のマイクロフォーカスX線CT装置で計測し、それぞれの試料における自由水の分布を調べた。 4.得られた主要な成果は以下の通りである。 (1)乾燥の進行に伴い自由水の存在する仮道管は試料表面から順次減少していくが、自由水の存在する仮道管と存在しない仮道管との境界は次第に不明瞭になり、自由水の存在する仮道管が島状に分布するようになることが明らかになった。 (2)放射柔細胞は、周囲の仮道管から自由水がなくなった後も自由水を保持し続け、乾燥が遅れる傾向があることが明らかになった。これは、乾燥中に検出されるAEの主要な発生源は柔細胞における気泡発生であるとする既往の研究成果を支持するものである。 (3)試料寸法と装置の分解能の制約から、自由水の存在する仮道管におけるメニスカスの消長、晩材仮道管の細胞壁内における水分分布などを明らかにすることはできなかった。これらは、今後の課題である。
|