1)電極刺入法の再検討 キンギョを材料とし、魚類の遊泳中枢である内側縦束核に正確に電極先端部を刺入する方法の再検討を行った。前年度の研究により、刺入後、時間が経過するにしたがいて電極先端位置が変化することが確認されたため、電極刺入後一定時間おいた後から通電による先端位置のマーキングを行なった。その結果、小脳体吻端から終脳尾端までの距離を100%とすると、小脳体吻端から前方へ40%、深さ90%の位置を目標に電極先端を置くことで、時間が経過しても高い再現性をもって電極先端部を遊泳中枢に維持することが可能となった。 2)赤外線刺激装置による遊泳の誘起の検討 前年度の研究結果をふまえ、無線方式による電気刺激法を検討した。電子機器設計業者に我々の希望する仕様を提示し、赤外線を用いた遠隔電気刺激装置の製作を依頼した。刺激点を二点設けた電極を作製し、遠隔電気刺激装置に接続した。プリント基板に定電流発生回路を組み込んだ試作装置で左右の内側縦束核を刺激し、左右何れかを刺激するとそれぞれの方向への旋回運動が誘起され、左右を同時に刺激すると直進運動が誘起されることを確認した。さらに、赤外線遠隔電気刺激装置に改良を加え、最終的には25mm×25mm×15mmブロックに小型化することができた。受信機をキンギョの背部に搭載し、頭部に固定した双電極に接続詞、送信機から発信されたパルス状の電気刺激によって左右それぞれへの旋回運動と同時刺激による直進運動が誘起されることをあらためて確認した。今回作製した赤外線刺激装置の有用性が確認された。
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