研究概要 |
バイオミネラリゼーションは、水中の金属イオンを鉱物塩として結晶化させる生物現象であるが、そのメカニズムについては不明な点が多い。貝類の外套膜は貝殻形成において中心的な役割を果たす他の動物にはない特異的な組織であり、バィオミネラリゼーション研究に最適のモデルである。本研究においては,マガキ貝殻の再生過程にある外套膜のサブトラクションライブラリーからクローン化した遺伝子群の機能解析により、バイオミネラリゼーションの過程を分子レベルで解明することを目的とした。 得られたクローン約200個についてその塩基配列を調べた結果、貝殻形成に関わると推測されるタンパク質をコードする遺伝子が数クローン得られた。本研究ではその中から特にカルシウム輸送に関わると考えられる二価金属輸送体に注目し、その構造と機能を調べた。マガキの二価金属輸送体は、シロイヌナズナArabidopsis thalianaの金属トランスポーターと52.9%の相同性を示し、526アミノ酸からなるタンパク質をコードした。マガキの二価金属輸送体は様々な組織に発現することが確認された。その中でも、鰓、中腸腺、血球において強く発現していたことから、これらの組織において金属イオン吸収に特に重要な役割を果たしていると予想された。 マガキの二価金属輸送体を発現させたアフリカツメガエル卵母細胞は弱酸性域(pH5.5)においてFe2+を取り込むことが確認された。しかし,この取り込み活性はpH7.5では認められなかったことから、oyDMTは他のDMTと同じく、金属輸送にプロトン勾配を利用していると考えられた。また、Fe2+取り込み活性は、Cu2+、Mg2+、Ca2+などによって競合阻害を受けたことから,oyDMTはFe2+の他にこのような金属イオンを取り込む可能性が示唆された。
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