研究概要 |
1.研究実施概要 本研究の目的は近赤外線分光法を使用した野菜葉内硝酸イオン濃度の推定数理モデルを確立することである。平成16年度の研究実施概要は次の通りである。 ・人工気象器への二酸化炭素濃度調節器の設置および動作確認ならびに野菜栽培。 ・近赤外線分光法によって得られた吸光スペクトルから野菜葉内硝酸イオン濃度を推定する数理モデルの構築。 2.研究成果 人工気象器への二酸化炭素濃度調節器の組み付け及び各種センサの取り付けを完了した。人工気象器内でレタスの栽培を行った。 上記栽培レタス,研究機関内で栽培したホウレンソウおよび市販のレタスとホウレンソウを試料とし,研究機関に設置の近赤外線分光計を使用して吸光スペクトルを測定した。波長領域は400nmから2500nmを対象とした。また,同試料の硝酸イオン濃度を従来の破壊計測法であるカタルド法で測定した。試料の硝酸イオン濃度は200ppmから5500ppmの範囲であった。これら吸光スペクトルと硝酸イオン濃度データを多変量解析によって解析した。解析手法は主成分回帰法(PCR法)およびPLS(Partial Least Squares)法を使用した。検量線から得られた推定値と実測値の相関係数は0.996であった。以上の結果,近赤外線吸光スペクトルから硝酸イオン濃度を精度良く推定できることを確認した。来年度は人工気象器の栽培環境を変えて多様な硝酸イオン濃度を持つ試料を栽培し,分光スペクトル及び硝酸イオン濃度データを蓄積して本数理モデルを完成させる。
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