研究概要 |
1.研究実施概要 本研究の目的は近赤外線分光法を使用した野菜葉内硝酸イオン濃度の推定数理モデルを確立することである。平成17年度の研究実施概要は次の通りである。 ・人工気象器および露地におけるレタス栽培とレタスの近赤外線吸光スペクトルの計測。 ・吸光スペクトルから野菜葉内硝酸イオン濃度を推定する数理モデルの構築。 2.研究成果 供試植物はレタス2品種、即ちグリーンウェーブ(Lacutuca.sativa L.,cv."Greenwave")及びダンシング(Lacutuca.sativa L.,cv."Dancing")である。人工気象器内、露地、およびガラス温室内で栽培した合計186株からFantec社製フルーツテスター20を使用して近赤外線吸光スペクトルを測定した。波長領域は600nmから1000nmであり、波長分解能は1nmである。また,同試料の硝酸イオン濃度を破壊計測法であるカタルド法で測定した。試料の硝酸イオン濃度最大値はおよそ7000ppmであった。これら吸光スペクトルと硝酸イオン濃度データを半分に分けて一方をキャリブレーション用データ、他方を評価用データとした。キャリブレーション用データを主成分回帰法(PCR法)によって解析し検量線を得た。検量線の寄与率は0.670292であった。評価用データの実測値と推定値の相関係数は0.750238となった。葉単位ではなく株単位の硝酸イオン濃度を推定しており、測定条件を一定に保ちにくいことに鑑みれば上記寄与率は高い値と考えられる。以上の結果,近赤外線吸光スペクトルから硝酸イオン濃度を推定できることを確認した。 さらに測定サンプル数を増やし、かつ統計的解析を進めることにより検量線の寄与率が向上する可能性がある。
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