研究概要 |
ウシ肝臓由来cDNAクローンを基に作製したウシ肝cDNAマイクロアレイの有効性を未知クローンの配列、機能、発現動態の解析、検証することから、ウシ肝の生理状態の把握および疾病診断に適用できる汎用的なアレイの開発を目的として、より広範な遺伝子情報を集積した約10,000オリゴ情報からなるアレイを作製した。 発現遺伝子動態の解析には体細胞クローンウシと通常の方法で作出したウシ肝臓を用いた。体細胞クローンウシでは病理および組織学的に変異を示す肝臓が認められるが、著しい病理変異を示さない肝臓であっても数%の遺伝子の発現変動を認め、cDNAアレイに含む数多くの遺伝子情報は、現在のところ機能が十分明確でなくとも肝臓の機能診断に有効な情報であることが示唆された。また、機能および遺伝子の全配列が不明であったcDNAクローンからその発現動態およびin silico解析により、2種の新規遺伝子であるプロラクチン関連タンパク質(PRP)遺伝子を同定し、PRP-VIIIおよび-IXと命名するとともに、in situ hybridizationにより主たる発現細胞が胎盤の二核細胞であることを証明した。加えて、これまで開発してきたウシ肝cDNAマイクロアレイおよび子宮・胎盤cDNAマイクロアレイ上の共通する遺伝子の検証およびin silico解析することから、約10,000オリゴを配置したウシオリゴアレイを作製した。このオリゴアレイは約2,620個の肝由来クローン情報および約1,730個の子宮・胎盤由来クローンを軸として、Gene Bank Database情報を基に抽出した約5,600遺伝子の60塩基配列からなる個別遺伝子情報を集積したものである。尚、本アレイの作製は、これまでアレイ開発で連携してきた農業生物資源研究所のグループとの共同成果である。
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