研究課題/領域番号 |
16658112
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
大橋 和彦 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 助教授 (90250498)
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研究分担者 |
小沼 操 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 教授 (70109510)
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キーワード | サイトカイン / 遺伝子多型 / プロモーター領域 / 疾患感受性 / 牛白血病 / 腫瘍壊死因子(TNF-a) |
研究概要 |
我々は、牛白血病ウイルス(BLV)実験感染羊を用いた実験からサイトカインの発現がウイルスの動態と密接に関わり、とくに感染初期に腫瘍壊死因子(TNF-α)の発現が高い個体が病態の進行に抵抗性を示すことを報告している。しかし、何故TNF-αの発現に個体差が生じ、本症の病態進行に差が生じるのかは明らかではなかった。そこで、本研究では、牛サイトカイン遺伝子に多型が存在し牛白血病の病態進行に関与しているかを検討する目的で、BLV感染牛のTNF-α遺伝子多型について解析を行った。BLV感染牛の異なる病態期、すなわち無症状キャリアー期、リンパ球増多症期および白血病発症期のBLV感染牛(黒毛和種92頭、ホルスタイン種40頭)よりgenomic DNAを抽出しReal-time PCR法によりBLV感染細胞率を算出した。一方、同DNAを用いてプロモーター領域を含むTNF-α遺伝子多型についてDirect sequence法、PCR-RFLP法およびCloning sequence法により同定した。各遺伝子多型とBLV病態期またはBLV感染細胞率との相関についてはχ^2検定法により解析を行った。その結果、TNF-αの5'側non-coding領域内の翻訳開始部位から上流の989番目にCまたはT、1020番目にAまたはGの遺伝子多型が存在し、989番目がTあるいは1020番目がGをホモで保有する個体は感染細胞保有率が高いことが明らかとなった。さらにBLV感染牛の病態と同遺伝子多型を比較した結果、白血病発症牛において1020番目がGをホモで保有する個体が有意に多く分布することが明らかとなった(非BLV感染牛に対しP=0.005、BLV感染非発症牛に対しP=0.043)。このことからTNF-α遺伝子多型のプロモーター領域の多型が牛白血病の病態進行に関与する可能性が示唆された。現在、本領域の多型とTNF-a発現性、とくにウイルス由来転写活性化因子であるTaxとの関係について検討を行っている。
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