研究課題/領域番号 |
16658115
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
明石 博臣 東京大学, 大学院農学生命科学研究科, 教授 (10334327)
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研究分担者 |
遠矢 幸伸 東京大学, 大学院農学生命科学研究科, 助教授 (20180119)
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キーワード | イヌ / ヘルペスウイルス / BAC / 遺伝子治療 / ベクター / 宿主特異性 / クローニング / GFP |
研究概要 |
本研究では伴侶動物に治療遺伝子を安全かつ高率に導入するヘルペスウイルスベクターを開発することを最終目的として、イヌヘルペスウイルス(CHV)を対象にベクターとして要求される基礎的性状、特に宿主特異性の解明並びに新規ベクターの生産・供給システムのデザインとその実現を試みる。具体的には以下の項目を追求することにより行われる。1)CHVゲノムのクローン化と改変によるベクター化。2)ベクター産生細胞株とベクター作製システムの構築。3)CHVの宿主特異性の分子基盤の解明によるヒトに対する安全性の確立と決定。 今年度は1)外来遺伝子挿入部位の検討、並びに、2)GFPの発現を指標としたin vitroでの宿主域の解析を行い、以下の成績を得た。 1)新規外来遺伝子挿入部位としてUL3.5とUL4の間が適切であることを確立するため、CHVのUL3とUL4の間の塩基配列を決定した。その結果、Varicellovirus属に共通のUL3.5の読み取り枠の存在が示唆された。さらに、UL3.5とUL4の推定ポリAシグナル間にGFPを挿入した組換えCHVを新たに作製してその性状を検討したところ、GFPを安定に保持するとともに培養細胞における増殖性の低下が認められず、当該部位の外来遺伝子挿入部位として適切性が確立されたものと考えられた。 2)上記GFP発現CHVはイヌ由来細胞でよく増殖するとともに、細胞への吸着・侵入後、短時間でGFPを発現するため、CHVが各種細胞へ吸着・侵入する能力を評価することが可能となった。そこで、従来その増殖が認められていなかったネコ由来細胞やサル由来細胞に接種したところ、GFPの発現が認められず、これらの細胞では吸着・侵入段階で感染が阻止されていることが示唆された。
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