研究課題/領域番号 |
16658120
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
源 宣之 岐阜大学, 応用生物科学部, 教授 (10144007)
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研究分担者 |
杉山 誠 岐阜大学, 大学院・連合獣医学研究科, 教授 (80196774)
伊藤 直人 岐阜大学, 応用生物科学部, 助教授 (20334922)
金城 政勝 琉球大学, 熱帯生物圏研究センター, 助教授 (90117573)
淺野 玄 岐阜大学, 応用生物科学部, 講師 (30377692)
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キーワード | エマージング感染症 / 野生動物 / 抗体測定 / 感染細胞抗原 / 蚊の採集 / ウイルス遺伝子の検出 |
研究概要 |
エマージング感染症の多くの病原体は野生動物や昆虫と共存し、自然界で秘やかに感染環を形成している。そこで本研究では、野生動物や昆虫から種々の病原体や抗体を検出して、わが国に既に侵入しているあるいは侵入する恐れのある新たなウイルス性感染症をいち早く捕捉し、それらの予知法を考案しようとするものである。昨年度(初年度)は、主に野生動物からの材料収集と抗体測定用蛍光抗原として、8種類のウイルス感染細胞プレートの作製を行った。本年度は初年度に引き続き野生動物からの材料収集及び8種類のウイルスに対する抗体測定を行った。また、熱帯地方から侵入する恐れのある検索材料として、岐阜及び西表島での昆虫採集を引き続き行った。さらに、最近注目されているE型肝炎ウイルス(EHV)に対する抗体を野生動物から簡便に検出るためのラッテクス凝集反応の確立を試みた。 1.野生動物材料の収集:2005年に14種54例、2年間で合計308例の野生動物材料を収集した。 2.西表島及び岐阜での蚊の採集(2005年):西表島では11,887匹を採集し、そのうちクロヤブカが昨年と比べ1/4に減少し20%、イエカが0.3%であったのに対し、岐阜では6,156匹を採集し、そのうちイエカが昨年同様に92%、クロヤブカは0.03%であった。蚊の分布状況は、岐阜で変化していなかったが、西表島で変動していることが分かった。 3.抗体調査:アデノ、インフルエンザ、ロタウイルスに対する抗体が多くの野生動物種で検出され、これらのウイルスは自然界で広く分布していることが示唆された。また、イノシシは狂犬病ウイルスを除く全てのウイルスに対して抗体を保持しており、特に、日本脳炎、ロタウイルスに高感受性であることが確認された。一方、狂犬病ウイルスに対する抗体は全ての動物から検出されなかった。 4.大腸菌発現EHV-ORF2蛋白質を感作抗原としたラテックス凝集反応を確立した。 以上、人里近くに棲息する多くの野生動物が多種の病原体を保有していることが抗体調査から明らかになった。また各種材料が収集されたので、次年度は、野生動物血清における抗EHV抗体及びイノシシと日本脳炎ウイルスとの関係を詳細に調査し、感染症の予知法を検討する予定である。
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