研究概要 |
目的:犬猫のてんかん焦点検索法としてのMRI潅流強調画像(perfusion weighted imaging : PWI)について,これまでに我々が開発した犬片側扁桃核内カイニン酸注入辺縁系発作重積モデルを用いて,その有用性について検討した. 方法:PWIの方法はGadolinium製剤(造影剤)を用いて撮影するdynamic susceptibility contrast-enhanced(DSC)法を用いて行った.犬の片側扁桃核内ヘカイニン酸を注入後,発作発現より3時間,および6時間にPWIの撮影を行った.撮影されたPWIデータをワークステーション上で解析し,各脳領域の平均通過時間(MTT),脳血液量(rCBV)および脳血流量(rCBF)を測定および検定し,またカラーマッピング表示した. 結果:発作焦点領域である左扁桃核は発作開始から3時間の時点においてrCBV,rCBFの有意な増加およびMTTの有意な短縮が認められた.一方6時間後では各パラメータについて左右差は消失していた.扁桃核の周辺領域である側頭葉や海馬などの領域では3時間の時点では有意差はなく,6時間の時点で焦点側のrCBV,rCBFの有意な増加が認められた. まとめ:以上の結果から3時間の時点,すなわち犬の片側辺縁系発作重積早期では焦点領域の高潅流状態が確認され,6時間の時点では以前の脳波研究でも確認された対側扁桃核への伝播および周辺領域への伝播を証明する高潅流状態が確認できた.これらの所見よりPWIは発作期には発作焦点での高潅流を認識することが可能で,発作焦点検索法として有用なツールになりうることが示された.しかしながら,解析方法やカラーマッピング表示にはまだ改良する余地があり,さらには臨床例では発作間激期での撮影が基本となることから,発作間歇期のPWIの有用性についてさらに研究を進める必要性があると考えられた.
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