1.気生微細藻類を用いるバイオフィルターの作製 本年度は、山形県米沢市白布温泉、静岡県下田市鍋田海岸、山梨県北都留郡小菅村小菅温泉、および栃木県塩谷群栗山村湯西川温泉にてコンクリート塀などの基物からスクリーニングした気生微細藻類を用いてバイオフィルターを作製した。担体としてガラス繊維ろ紙を選んだ。また、ガラス繊維中の細胞観察により、それぞれの藻体がガラス繊維にしっかりと着生していることが認められた。今回使用した6種の藻体は同様の光合成色素(β-カロテン、クロロフィル、ルテインなど)をもっていることが分かり、全て緑藻類であった。 2.バイオフィルターの無機窒素源除去能力の評価 各藻体のバイオフィルターは、pH8.0、温度25±2℃、光強度30μE/m^2/sの条件下で液体培地の入った平底試験管に浸した。バイオフィルターによる硝酸イオン除去速度は、経時的に培地を採取しイオンクロマトグラフィーを用いることで測定した。この結果、硝酸イオン除去速度は藻体の種類によって大きく違いを示したが、白布温泉から採取した藻体が著しく高いことが分かった。 3.気生微細藻類利用型バイオリアクターの作製 今回、気生微細藻類Trentepohlia aureaのバイオフィルターを用いて、ガラス製のカラム内にそのバイオフィルターを数十枚重ねることで気生微細藻類利用型バイオリアクターを作製した。そのバイオリアクター内に合成排水を循環し、経時的に排水を分析することで気生微細藻類利用型バイオリアクターの無機窒素源除去能力を評価した。合成排水中の硝酸イオン濃度は、光照射下において比較的速い速度で除去されることが分かった。 以上、本年度の研究実績の概要について簡潔に記した。
|