研究概要 |
当研究室で開発した不斉ロジウム(II)錯体のルイス酸触媒としての可能性に着目した反応開発研究を行い、以下の知見を得た。 1.Danishefsky型ジエンと各種アルデヒドとのヘテロDiels-Alder反応においてアミダート錯体Rh_2(S-BPTPI)_4を用いると、最高98%の不斉収率とルイス酸触媒としては異例の触媒活性(最高触媒回転数48,000)を示すことを見出した。また、従来の不斉ルイス酸触媒を用いたヘテロDiels-Alder反応では報告例のないホルムアルデヒドをジエノフィルとする付加環化反応においても90%の不斉収率が得られることが分かった。さらに、Rh_2(S-BPTPI)_4は酸素官能基一つで活性化されたジエンとアルデヒドの不斉ヘテロDiels-Alder反応も触媒し、2,6-シスのテトラヒドロピラノン誘導体を最高不斉収率99%で与えることが分かった。 2.シリルケテンアセタールとアルデヒドの向山アルドール反応にRh_2(S-BPTPI)_4を用いると最高不斉収率94%でアルドール成績体が得られることを見出した。また、グリオキシル酸エステルとα-メチルスチレンの不斉カルボニル-エン反応では、Rh_2(S-PTPI)_4を用いた場合に50%eeと中程度の不斉誘起が観測された。現在これらの反応の不斉収率向上と適用範囲拡張に向け反応条件の精査を検討中である。
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