研究課題/領域番号 |
16659003
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
長野 哲雄 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 教授 (20111552)
|
研究分担者 |
浦野 泰照 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 助手 (20292956)
平田 恭信 東京大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (70167609)
|
キーワード | MRI / 画像化 / 造影剤 / 亜鉛イオン / 可視化 / 虚血 / プローブ / 錯体 |
研究概要 |
生体の3次元断層画像法の一つであるMRIは放射線被曝がなく、かつ生体を傷つけることなく体内深部からの画像を得ることが出来る。臨床の現場で多用され、非常に有用であることから2003年ノーベル生理学医学賞がMRIの開発研究者に授与された。現在、MRI造影剤として一般に用いられているGd^<3+>錯体は、錯体の近傍あるいは錯体に直接配位している水分子の緩和時間が体内の各部で変化することを原理として生体を画像化している。本研究では、高度に機能化したMRI造影剤を創製する。すなわち、生理活性分子と特異的に反応することではじめて水分子の緩和時間が変化するように分子設計し、その結果in vivo系での生理活性分子の画像化を可能とする研究である。 本研究では亜鉛(Zn^<2+>)の機能性MRI造影剤を開発する。Zn^<2+>は生体内において鉄イオンに次いで多量に存在する2価イオンで、ヒトには通常約3g存在する。従来、生体におけるZn^<2+>は酵素の活性中心あるいは構造保持の機能を有している場合、および転写因子で重要な作用を発現している場合が注目されてきた。しかし最近、フリーあるいはフリーに近い状態のZn^<2+>が虚血時あるいは神経伝達の際にpresynaptic neuronから放出され、NMDA受容体などの活性を制御していることが示唆され、その動的挙動が注目を集めるようになってきた。本年度は基礎研究としてZn^<2+>に特異的なキレート試薬の開発を行った。その結果、TPENを骨格とするキレーターが極めて有用な試薬であることを明らかにした。この知見に基づいて次年度はこのキレーターをGd^<3+>錯体に組み込み、新規のMRI造影剤の分子設計、化学合成を行い、造影剤としての有効性を探ることを計画している。
|